2023年12月15日

【東日本大震災】レポートNo.331

岩手を訪問した増島のレポートです。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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2023年10月訪問 遠野レポートNO14

昨年の12月にまけないぞうの作り手さんがお亡くなりました。ちょうど、その直前の11月に訪問した直後のことでした。今度行ったらお墓参りに行きますと、旦那さんにお伝え致しました。そして、今回の訪問で、その旦那さんもこの8月に倒れ帰らぬ人となっていました。作り手さんのお墓参りがご夫婦揃ってのお墓参りになってしまいました。

 この人は避難所からずっとまけないぞうを作っていて、「私、“まけないぞう”がないとだめなの」と、避難所から仮設住宅、そして復興住宅でも作り続けて、家の中にはぞうさんグッズでいっぱいになっていました。仮設生活の後半から体調が悪くなり、復興住宅では横になっていることが多くなりながらも、会うたびに「ぞうさん作りたい、ぞうさん作りたい」と話していて、一緒に作ったこともあります。

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傍らで旦那さんは、お母さんのぞうさんづくりを眺めながら、タオルが裏返しになっていないか確認したり、お料理をふるまったりしてくれていました。私が一度食べて大好きになった鮭の白子が入ったおつゆを行く度に作ってくれたことを思い出します。

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生前、お二人のもとへたくさんのボランティアの人たちがお伺いしました。遠野の菊池加代子さんらメンバーのみなさん、遠野まごころネットのボランティアさん、学生さん、makenaizoneのみなさん、CODE海外災害援助市民センターのみなさん、各地からボランティアに来てくれたみなさん、本当にありがとうございました。みなさんの心の中でMさんご夫妻は生き続けることでしょう。

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 お墓の傍らにはMさんの愛用の杖がそっと置かれていました。いのちに限りはあるとわかっていても、辛く寂しさがこみ上げます。お二人のお墓は町の高台にあり、静かに吉里吉里の海と人々を見守ってくれています。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。
                        (増島 智子)


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※この活動は大塚商会ハートフル基金の助成を頂き実施しました。
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2023年12月11日

【東日本大震災】レポートNo.330

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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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2023年10月訪問 遠野レポートNO13

今回訪問で、コロナが発生してから3年目となり、その間ずっと会えていなかった人たちにまたまた会うことができました。釜石市の箱崎のみなさんはとっても元気でした。小さな漁師町で、集落はすっかり防潮堤に囲まれています。こちらのみなさん漁師町のザ・お母さんというような元気はつらつのみなさんです!こちらのみなさんに会いに来る人はみんなタジタジ(笑)で、関西のノリとツッコミのようななんとも言えない面白さがあります。

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 久しぶりの再会にみなさんご馳走を作ってくれました。地元でとれた新鮮な小鯵のたたき、サンマのつみれ汁、旬の栗ご飯などご当地の食材がテーブルいっぱいに並びます。「楽しくて、楽しくて、早くから目が覚めたよ!どこかへ出かけることもないからね。」とMさんが嬉しそうに話してくれます。

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「最近は釜石市内にも行くことがなくなった。バス停までも遠いから歩くのも大変だし、歩かなくなったよ。スーパーにも行けなくてね」と。コロナ前までは、バスに乗って、お出かけもしていたのですが、コロナのせいか、高齢のせいなのか、体力が落ちてきてしまっていました。また、交通網の脆弱さにより買い物、医療などに行きにくくなる課題が突き付けられていました。市内も出なくても、近隣に病院(車のない人にとってはなかなかの距離)があるのですが、なかなか行きにくい様子でしたが、ぞうさんチームの人たちが、上手に新しい病院に行くように進めてくれます。
 みなさん手芸が得意で、着物をバッグや小物をつくったりしていて、たくさん着物を持って帰りました。次回来るときにどんなものに変身しているのか楽しみです。
 久しぶりの訪問で話も尽きないまま一日があっという間に過ぎてしまいました。
                         (増島 智子)

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※この活動は大塚商会ハートフル基金の助成を頂いて実施しました。

posted by 被災地NGO恊働センター at 09:29| ニュース・情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月07日

【東日本大震災】レポートNo.329

岩手を訪問した増島のレポートです。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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2023年10月訪問 遠野レポートNO12

 今回の遠野訪問では、コロナが発生してから3年目となり、その間ずっと会えていなかった人たちにも会うことができました。随分長い間会えていなかったなと、しみじみ思いました。遠野の支援者加代子さんと陸前高田市の方に会いに行きました。

 その方は、津波でお父さんを亡くされ、いまはお母さんと娘さんと復興住宅に暮らしています。久しぶりの訪問で歓迎してくれました。そして、石川啄木の松原の歌碑を教えてもらいました。津波で流されてしまったその歌碑を教えてもらいました。この歌碑は、1960年のチリ地震と今回の東日本大震災の津波で2度流失しました。けれど、地元の人はその歌碑をよく覚えていて、忘れてはいけないと教えてくれました。

  悲しさよ、さらさらと
  いのちなき砂のかなしさよ
  さらさらと、
  握れば指の間より落ちる

これは、啄木が1910年(明治3)に作った詩で、国家権力が社会主義運動を弾圧した年でもあります。また、長男が誕生したのですが、病弱で生後24日で亡くなったのです。そんな時代背景と啄木自身のことなど、人生が思い通りにならないまま時間が過ぎてゆくはかなさを表現しています。

津波でいのちを失った人たちのことを重ねるかのように、その歌碑を地元の人はとても大切にしていたそうです。津波のことを忘れないため、いのちの大切さを訴えるために。

今回の訪問でその歌碑の存在を初めて知ることができました。次回訪問の際は、新しく建立された歌碑を見学にいきたいと思います。

12年間通っていますが、まだまだ知らないこと、あの日のことについて初めて聞くことがあります。語り継ぐということの大切さをあらためて実感しました。 
                       (増島 智子)

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※この活動は大塚商会ハートフル基金の助成を頂いて実施しています。

〜活動支援金のご協力のお願い〜
・クレジットカードでも寄付ができます。
 https://congrant.com/project/ngokobe/605
・郵便振替:口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
・銀行振込:ゆうちょ銀行 一一九店 当座番号 NO.0068556 
 名義 ヒサイチNGOキョウドウセンター
*お手数ですが、備考欄に「東日本大震災」とご記入ください。

※"まけないぞう"支え合い募金にご協力ください。
 http://ngo-kyodo.org/cooperation/donation_and_membership.html
posted by 被災地NGO恊働センター at 13:57| ニュース・情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年12月06日

【東日本大震災】レポートNo.328

被災地NGO協働センターです。
岩手を訪問した増島のレポートです。

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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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2023年10月訪問 遠野レポートNO11

遠野のみなさんが手芸をしているところにお邪魔しました。この集まりは東日本大震災レポートNO327でご紹介させて頂いた菊池加代子さんが震災当時から続けている手芸サークルです。津波直後に「ふきのとうの会」のみなさんにお手伝いを頂きながら、1年間ほぼ休まずに毎日避難所にまけないぞうづくりをしてくれました。私は岩手県に行った直後に方言もわからず通訳も含めて、手芸の得意なメンバーさん、力仕事はできなくてもできないことがあるということで、まけないぞうの作り方を覚えてもらって避難所のみなさんにその作り方の指導に同行してもらいました。それをまとめていたのが、菊池加代子さんで、そんなご縁から避難所から仮設に移り落ち着いてきたころから、私たちが岩手県の常駐を終えた頃から、遠野のつるしびなを教えに回りました。
 その後も、遠野では継続して月に一度手芸サークルしています。

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そちらにお邪魔して、手芸を楽しんでいるみなさんに着物などをお配りしました。

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※この活動は大塚商会ハートフル基金の助成を頂いて実施しています。
〜活動支援金のご協力のお願い〜
・クレジットカードでも寄付ができます。
https://congrant.com/project/ngokobe/605
・郵便振替:口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
・銀行振込:ゆうちょ銀行 一一九店 当座番号 NO.0068556 

名義 ヒサイチNGOキョウドウセンター

*お手数ですが、備考欄に「東日本大震災」とご記入ください。
posted by 被災地NGO恊働センター at 14:44| ニュース・情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2023年11月25日

【東日本大震災】レポートNo.327

久しぶりに陸前高田市の作り手さんたちと遠野を訪問し交流会をしました。
まずは、みなさんの大好きな手芸屋さん「ルピナス」で、来年の干支「龍」の材料をゲットしていました。そして、道の駅「風の丘」で野菜やお土産を購入していました。

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その後はお待ちかねの、元「ふきのとうの会」のリーダー菊池卓郎さん加代子さんご夫妻らのもとへ。メンバーの菊池和香子さんたちとお弁当や遠野の郷土料理“ひっつみ”を作って歓迎してくれました。コロナ禍で、遠野のひなまつりもできなくなり、久しぶりの交流で“わはは”、“おほほ”と時間があっという間に過ぎ、「10年??ぶりに会って楽しかったわぁ」と冗談も飛び出すほどみなさん笑顔が溢れました。

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その後はお待ちかねの、元「ふきのとうの会」のリーダー菊池卓郎さん加代子さんご夫妻らのもとへ。メンバーの菊池和香子さんたちとお弁当や遠野の郷土料理“ひっつみ”を作って歓迎してくれました。コロナ禍で、遠野のひなまつりもできなくなり、久しぶりの交流で“わはは”、“おほほ”と時間があっという間に過ぎ、「10年??ぶりに会って楽しかったわぁ」と冗談も飛び出すほどみなさん笑顔が溢れました。

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帰り道は、お土産でいっぱいになりながら、「ぞうさんが来た時に、また遠野に行きたいね〜」という言葉に「そうだね〜」と約束をしながら帰路につきました。
 陸前高田市から遠野市までは車で約1時間の道のりです。高齢になってきたみなさんが自力で行くことはほとんどできません。昔とは違って、高台に移転している人も数多くいて、高齢者は特に気軽に会いに行くことが難しい事情になっています。
 「暮らしの再建」は建物などのハード面が復旧するだけでなく、コミュニティや仕事、生きがいなど多くの暮らしにまつわる要素が再建することが大切だとあらためて感じます。(増島 智子)

※この活動は大塚商会ハートフル基金の助成を頂いて実施しています。

〜活動支援金のご協力のお願い〜
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・郵便振替:口座番号:01180-6-68556/加入者名:被災地NGO恊働センター
・銀行振込:ゆうちょ銀行 一一九店 当座番号 NO.0068556 

名義 ヒサイチNGOキョウドウセンター
*お手数ですが、備考欄に「東日本大震災」とご記入ください。
posted by 被災地NGO恊働センター at 19:20| ニュース・情報 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする