2012年05月07日

【東日本大震災】レポートNo.166


4月26日より、2週間程度の予定で再び岩手県に入っている増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり 5月5日(土)
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今回の滞在期間中は、新たに2カ所の仮設住宅にお邪魔し、「まけないぞう」の回収に回っています。沿岸では桜が終わり、滞在している遠野では数日遅れで桜が満開です。ただ、この低気圧の影響で桜が風に舞い、見頃が短くなってしまいました。被災地では雨の影響で少し被害も出ているようです。

遠野の桜並木_s.JPG

遠野の桜_s.JPG

作り手さんのところへ久しぶりに会いに行くと、住宅のことで悩んでいたり、これからどうなるのかという話が多く聞こえてきます。大槌ではぞうさんを作りながら、「災害復興住宅ができるまでにはあと4年〜5年かかるみたい。そうなったら、私はもう80才になるよ。もっと具体的な目安が欲しいな」「もう、は〜私はあきらめたよ。」など。1年を過ぎて少し落ち着き、これからのことをゆっくり考える時間がもてるようになったものの、具体的な方向性が見えないまま不安な毎日を過ごされている方も少なくないようで、精神的に落ち込んでしまう方もいらっしゃいます。

それでもぞうさんを作っていると、笑みがこぼれてきます。先輩たちの作り手さんに囲まれながら、「今日は先生が三人もいるから、安心だね」「優秀な生徒になるよ」といいながら縫い進めていきます。先生たちもぞうさん作りに夢中になって、目を離したすきに「あんれま〜しめすぎて、ずいぶんと面長な顔になったよ〜」と大笑いです。「先生が三人もいるのにおかしいね〜」とまた大笑いです。そして、何とか完成しました。みんなお茶を飲みながら「今日はよく笑った」と・・・また「まけないぞう」が被災者に寄り添い笑顔を運んでくれました。

赤浜小学校1_s.JPG

講習_s.JPG

なんとか完成_s.JPG

今回は初めて唐丹町にある大曽根仮設住宅に伺いました。29戸の小さな所で、あまりボランティアの人たちも入っていない様子でした。それでも住民の方たちはとても明るく元気な様子でした。ここも桜が満開でした。支援員の方が裏山でとれた沢ワラビをお茶うけにと用意してくれました。こごみよりしゃきしゃきしていて、ワラビのような癖もなくパクパクとたくさん頂いてしまいました。また、お昼にはこちらも旬のメカブをごちそうになりました。潮の香りがなんともいえず、産地ならではの味わいに、舌鼓をうちました。

満開の桜_s.JPG

沢ワラビ_s.JPG

メカブ_s.JPG

そしてぞうさん講習会です。「ぞうさん、難しいの??」と「はい、最初は難しいです(笑)」と答えると「じゃ、やめておこうかしら、私は頭ないからね〜(笑)」「私は針と糸なんか10年ぶりに持ったわ〜」などなど話しながら、ぞうづくりがはじまりました。「なんだか、私のはどうなんだか〜」と、私が「ぞうさんは不思議なことに作り手さんに似ますよ〜」と言うと、大笑いし、「ほんだば、私のぞうさんじゃめぐさくてもしょうがないね」(めぐさいはかわいくないという意味です)と会話が弾みます。「私は、ブタがつくりたい」とみなさん好きなように針を持つ手が進んで、笑いが自然とこぼれます。そんなことをしている間に、ぞうさんやらブタさんが完成していきました。

みんなで1_s.JPG

みんなで2_s.JPG

できました1_s.JPG

ブタさん_s.JPG

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釜石の尾崎白浜仮設にぞうの回収に行って来ました。作り手さんが家の中のレイアウト変えておられました。聞くと、「もう80才だから公営住宅はまだみたい。だから、カラーボックスを作って棚にして便利になったよ。ここで一生終わるかもしれないからね」とつぶやいていました。「仮設」暮らしといっても、被災者の方にとってはそこが仮住まいではなく、そこにそれぞれの「暮らし」が息づいているのです。その被災者のつぶやきは心に響きました。

そんな自宅でぞうさんを作っていると「ぞうさんに夢中になって、どこさも向かない。」(これは、他のことはしないという意味)とつぶやいてくれました。ニコニコ笑いながら、「ほんとにぞうさんづくりは楽しいよ」とかわいいたくさんのぞうさんを作ってくれています。他の方が「本当にぞうさんを作って顔色が変わったよ。明るくなったもの」と言ってくれました。

作り手さん_s.JPG

一年が経過し、被災者の方たちは新たなステージを迎えています。住宅や雇用などの問題が山積みです。不安と焦りをつのらせています。それでも現実を受け止めながら前向きに生きようとする姿が混在しているのがいまの被災地です。これから、5年、10年と被災者の方に寄り添い続けていけるよう、「まけないぞう」はぞうの歩みのように一歩一歩を進めていきたいと思います。
(増島智子)

☆まけないぞうの一言メッセージ
 「一人の人が作ってもひとつとして同じ顔がないよ」
(2012/05/02 60代女性 大槌町 吉里吉里仮設)

「他の内職より、ぞうの方が一つひとつ顔が違っていて、気楽で楽しい」
(2012/0502 60代女性 大槌町 在宅被災者)

家でのんびりテレビを見ているより、仲間と一緒に笑って話をしながら過ごす時間が楽しい、いろいろな話をできるから楽しい。
(2012/1/25 60代女性 釜石市 在宅被災者)

posted by 被災地NGO恊働センター at 12:25| ★「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする