2017年03月30日

【東日本大震災】レポートNo.277

あれから6年、岩手県の被災地に入った増島のレポートをお届けします。
今号は少し長文になります。お許しください。

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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり 2017年3月11日七回忌法要  
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 今年の3月11日は仏教では7回忌にあたります。この節目の命日に各地から被災地に足を運んで頂きました。10日にはいつもまけないぞうを応援してくださっている釜石市の不動寺の住職補佐森脇妙紀さんを作り手さんと訪ねました。
 お参りした場所は、釜石市小川町にある西国三十三カ所の霊場です。これは地元の実業家が大病を患い、弘法大使に助けられたということから、四国八十八カ所と西国三十三カ所をつくり、本尊の菩薩像や如来像などの石仏を設置したものです。昔は遠足や市民の憩いの場所だったということをまけないぞうの作り手さんや地元の方にお聞きしました。けれども近年は次第に訪問者も減少し、荒廃が進んでいたところ、不動寺さんに霊場の再建のお話があり、現在各地のお寺や地元の市民の方により再建が進められています。

お遍路_s.JPG

全員集合_s.JPG

 今回はそちらの西国三十三カ所の石仏にまけないぞうの作り手さんが赤いよだれかけを33枚つくり、7回忌ということもあり、そのよだれかけを地元の市民の方々とかけながら供養させてもらいました。この日は高野山真言宗総本山金剛峯寺の社会人権局からは木下友真さん、雨貝覚樹さん、西蔵全悠さんと神戸からのボランティア家藤美仁さん、溝渕裕子さんのみなさんでお参りをしました。

ぞうさん_s.JPG

お参り_s.JPG

 作り手さんのお一人は「足が痛いから車で待っている」と言っていたのですが、いてもたってもいられなくなり、途中から森脇さんに連れられ、山道を登って最後の札所33番によだれかけをかけ供養することができました。「だって〜ここまで来たんだもの、私もお参りしたかったのよ〜」と足の痛さも吹き飛んだように、必死に歩きながらみなさんとお参りできてとてもよかったです。

みんなで_s.JPG

三十三番_s.JPG

また当日の3月11日の命日には森脇さんと“歩き供養”をさせて頂きました。今年の7回忌にあわせて2014年に発生した広島土砂災害でお世話になった薬師寺の住職猪智喜さん、高野山真言宗心の相談員矢木孝さんと家藤さんとともに参加させて頂きました。

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街でお経をあげながら歩いていると、いつもは車で通りすぎてしまい、気づけないことに気づくことができました。未だに残る津波の爪痕、昔賑わいを見せていた横町の跡、復興の兆しをみせる地元の商店のみなさんなどいろいろな想いが駆け巡ります。

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突堤_s.JPG

横町跡_s.JPG

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復興の兆し_s.JPG

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また、海にお経をあげた後には、お布施をもってこられ、「ちゃんと用意していなくて裸ですみません」と森脇さんにお渡しする姿をみて、なんだかとても温かい気持ちになりました。中には小学生が10円玉を握りしめ駆け寄ってくる子どもたちもいるそうです。
あの6年前の大津波で何もかも奪った海、あれから海をみても素直にきれいとか、あまり感じられなくなっている自分がいました。でも被災者の方が、「時折あの津波がなかったらこんなにいろんな人に会えなかったよ。津波のお陰だよ」と話してくれる時もあります。複雑な気持ちが入り混じる海に向かって、みなさんとお参りできて、とても貴重な時間を過ごすことができました。

海_s.JPG

海での供養_s.JPG

午後には大船渡市のいつもまけないぞうで通っている後ノ入仮設での法要に参加させて頂きました。神戸大学の学生さんも来ていて、にぎやかにみなさんと被災地の様子などをお話ししながら、供養させて頂きました。この仮設は当初は76世帯だったのが、いまは23世帯となり、津波後仮設や再建などをしてから亡くなられた方が13人〜14人ほどいるそうです。6年という月日の重みをあらためて感じさせられました。

大船渡_s.JPG

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夜には同じ広島から西福院の住職生村健空さんが栃木で東日本大震災で犠牲になった動物たちの法要の後に合流してくれました。翌日作り手さんのところへお邪魔しました。なんと偶然にもその方は地元の真言宗の檀家さんで、ご同行してくれた広島の真言宗の僧侶の方とともにお経をあげて頂き、素敵なご縁ができました。

〜まけないぞうの作り手さんからのメッセージ〜
今年の3月11日は仏前では7回忌になります。精神的な区切りの年になるのかと思います。「まけないぞうさん」を作って5年になります。最初は仮設住宅の集会所で講習を受け、その後1年ほど多雨期に1〜2回集まって作りました。そして、幼稚園などに行って園児達に手渡しました。よろこんで受けとってもらえました。私の娘はイギリスにくらしており、現地で支援してくれた方々にもお礼として贈りました。今は個人でそれぞれ製作しております。楽しい時間をありがとうございます。        (2017/1/7 宮城県石巻市)

posted by 被災地NGO恊働センター at 16:56| ★「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月29日

【東日本大震災】レポートNo.276

あれから6年、岩手県の被災地に入った増島のレポートをお届けします。

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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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 6年が経過した被災地を訪れました。今回は、東日本大震災の発生直後からタオル仕分け隊としてまけないぞうを応援して下さっている家藤美仁さん、阪神淡路大震災から障害者支援で奔走していた溝渕裕子さんが神戸から同行してくれました。道中は時折、雪が舞う中、3人で快走でした。お二人のお陰で無事に岩手に到着です。

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 到着してからも私たちを歓迎??するように時折、吹雪いていました。そして、拠点が遠野市から陸前高田市に移り、早速引っ越しです。春の嵐のような雪が降る中、遠野と高田を何度も往復し、お二人のお陰で無事に引っ越しも完了しました。

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 翌日からはお二人と大槌町にまけないぞうの回収に行きました。以前家藤さんが訪ねたことのある作り手さんを訪ねました。仲の良いご夫婦で、手作りのおつけもの、「こまこま」(地域によってはざくざく)という野菜を細かく切って炊いた煮物やワカメの茎の炊いたんなどの郷土料理を作って待ってくれていました。お土産にお持ちしたぞうさんグッズとパチリ!ご夫婦は順調にいけば、8月くらいに戸建ての復興住宅に入居予定です。狭い仮設での生活も限界で、新居の話をするときはうれしそうに話してくれます。
 
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郷土料理_s.JPG

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続いて、もう一人の作り手さんのところにいくと、マスコミでも取り上げられていましたが、大槌町での住宅再建補助での話が話題になりました。大槌町は津波を受けた造成地を区画整理して新たにそこに家を再建する人に補助金として100万円を出す方針を示しましたが、すでに家を再建した人との格差が生じるとして保留されるということがありました。これは、区画整理してもなかなか移住などが進まず、いまのところ空き地が出てしまっていることから生じる行政の失策か・・・?
自力再建、復興住宅、被災地外への転居など大きく環境が変わろうとしている中で、人口流出の問題、コミュニティの再構築、高齢化、雇用創出、ハード優先の復興における課題がさまざまな形で6年が経過した被災地に押し寄せています。

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posted by 被災地NGO恊働センター at 10:23| ★「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月25日

【東日本大震災】レポートNo.275

あれから5年8ヶ月、岩手県の被災地に入った増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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5年8か月が経ちました。徐々に変わりゆく街の姿を眺めながら車を走らせ、作り手さんのもとへタオルと支援者からのメッセージを携え、まけないぞうの回収へ。
 「まさか6年近くも仮設にいるなんてね〜」と長い月日の重みを感じます。体調を崩す方もいらっしゃいました。「病気でね、ぞうさんがうまく作れなくて、何度も何度もほどいては作り直すけど、うまくいかないの」と、遠い目をしながら話す作り手さん。「でも具合がよくなったら、作るから」ということでタオルを置いて帰ります。
 また、「6年だもんね。生きるのは辛い、あの時生きてしまったから」と、「これからのことを考えると本当に大変。仮設の時は、同じ境遇の人もいたからいろいろ話せたけど、家を流されただけの人と家族を亡くした人とは話が合わない。復興住宅ではいろいろな境遇の人がいるから話が合わないからしないんだ」と。心の傷はどれほどか想像し難い。
 
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ある作り手さんが「復興したというけれど、心の復興がなければだめだと思う。ココ(新しい土地)には慣れない。回覧もなく、生まれた育った土地にお茶っこしに行くの。心の復興について行政は思っていない。」という言葉がとても重く感じました。「来年の8月には公営住宅が建てられるからよかった。だれ〜こんな狭い仮設に5年もいたんだもの」と再建が見えてきた人もいます。
 そんな中で、まけないぞうが確実に心の支えになっています。「津波で着の身着のままできて、たくさんの人に支えられ、ここまで来ました。だから恩返しというか私も人の役に立ちたいという気持ちがあり、まけないぞうは一つ作って100円だけれど、100円より時間よりまけないぞう基金の50円というのは、一つ作ればボランティアになる。いざ災害でボランティアをしようと思っても行くこともできないので、50円基金ならボランティアができる。それにともて魅力を感じた。まけないぞうは心の癒しだし、心の空間を埋めるものにもなった」と話してくれました。
 
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 支えられるだけの被災者が気づくと支える側にまわることができる。それが阪神淡路から20年続けてきたまけないぞうの魅力です。一方通行の支援ではなく双方につながることができる被災地から被災地へのメッセンジャーまけないぞう。各地で元気や勇気を届けています。

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posted by 被災地NGO恊働センター at 10:07| ★「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月11日

【東日本大震災】レポートNo.274

あれから5年4ヶ月、岩手県の被災地に入った増島のレポートをお届けします。
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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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 今日で、東日本大震災から5年半を迎えました。犠牲になられた方に心よりご冥福をお祈りします。また行方不明者の方が一日も早く見つかることを心より願っています。5年半の月日で復興は進んでいる部分もありますが、行政と住民の復興への気持ちとのかい離が浮かび上がっているようです。
 
今回、作り手さんのところへお邪魔した時に久しぶりにぞうさんを一緒につくってみましょうということで、ちくちくスタート!こちらも久しぶりのぞうさんづくりで緊張しながら一緒に作りました。
 
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 ちくちく縫い進んでいくと、「あれ〜??なんだか鼻の作り方がおかしい??」、その方のぞうさん「いつもお鼻がずいぶん大きいな〜」と思っていたのですが、
(私)「ちょとお鼻の作り方が違いますよ〜」
(作り手さん)「え〜だって、こう教わったのよ」
(私)「いいえ、こうですよ」
(作り手さん)「え〜そうだったの??だから、たまには復習しないとだめよ〜。自分流にやってしまっているから」
と大笑いしながらの作り方の復習でした。

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彼女はたくさんのリングぞうさんをつくってくれています。また、リングぞうさんはお尻がプリッとしていて、後姿もとってもかわいいです。作り手さんが一生懸命作っていますので、ぜひ、買ってください。

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 そして夜は、大槌町の吉里吉里海岸で毎年開かれている「吉里吉里映画祭」に行きました。今年は熊本支援のチャリティ上映で「うつくしいひと」と「未来のカケラ」でした。「うつくしいひとは」熊本の阿蘇などの大自然の風景を舞台に繰り広げられるショートムービーです。「未来のカケラ」は東日本大震災で被災した小学生の作文をもとに作られたもので、夢のある映画です。
 こうして、両被災地が映画を通して、つながって支え合いの輪が広がっています。最後に実行委員会の方が「東日本で受けた支援の輪を今度は熊本につなげる」と話してくれました。被災地から被災地へ支援の輪が広がり、避けられない自然災害ですが、少しでも被害が食い止められたら何よりです。

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 当時はまさか岩手で水害によりこんな被害がでるとは思いもよりませんでした。いま被災地では津波でお世話になった人たちが、当時の恩返しとしてボランティア活動をしているそうです。災害はどんなものであってもとても辛いものです。けれども、「災害は悔しいけれど、こうしてみんなに出会えてよかった。」という言葉を聞くのも被災地です。

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posted by 被災地NGO恊働センター at 16:19| ★「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年09月07日

【東日本大震災】レポートNo.273

あれから5年4ヶ月、岩手県の被災地に入った増島のレポートをお届けします。

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「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり  
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 今回の台風10号は岩手県の沿岸に甚大な被害をもたらしました。2011年の津波からやっと立ち上がりかけた被災者に追い打ちをかけました。犠牲になられた方々に心からお悔やみ申し上げます。また被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。

これまでの被災地から、新たな被災地に支え合いの輪が各地で生まれています。ただ、一方でそれぞれの教訓がいかされずに、被災地に行くたびに「まさか自分のところにこんな災害が起きるなんて」という言葉を必ず毎回被災地で聞いてきました。
東日本の被災地でも同じです。「まさかこんな津波がくるなんて」、今回の台風では「まさかこんな水害があるなんて」という言葉です。残念でしかたありません。

今回の8月に岩手を訪れた時は、熊本地震の後だったこともあり、東北の被災者の人は熊本の人たちのことをとても心配していました。「私たちは、津波ですべてを流されたから、あきらめがつくけど、熊本の人は大変でしょうね」、「津波は高いところへ逃げたらいいけど、地震は逃げるところがないから、心配」、「みんな、いまどうやって生活しているの?」などみなさん心配してくれています。

そして作り手さんを訪ねたところ、お孫さんのお宅にいました。そこで「まけないぞう」でコツコツためたお金でプレゼントしたお孫さんの机を初めて拝見することができました。
とても立派な机です。その横にはなんと、くまモンのカバーがかけられたランドセルがありました。机にも感動しましたが、そのそばに熊本の人気キャラクターがあって、なんかご縁を感じます。
 そして、お孫さんのベッドの傍らには「まけないぞう」が飾ってあります。ほこりをかぶらないようにビニールで完全防御です(笑)こうして、両被災地のグッズに囲まれうれしくなり、記念にパチリ!

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 お家の中には大きなぞうさんも飾られています。いつもなかの良いご夫婦でハイポーズ!

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 ところで、久しぶりに市内を見て回りました。5年を迎え町の全景が少しずつ見えてきました。津波の直後から見ていますが、区画がだいぶできてきました。

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 どんな被災地でも元の場所に戻る人、戻らない人、避難先で新たな生活を選んだ人、戻りたいけど戻れない人いろんな人たちがいると思います。それでもふるさとを想う気持ちは変わらないでしょう。災害によりふるさとを奪われてしまう人もたくさんいます。生かされたいのちを大切に生きていきたいものです。

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<大槌町以前>

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<大槌町今>

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<津波直後>

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<大槌町今>

 短い夏を終え、まもなく東北は秋を迎えます。

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<くるみ>

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<ひょうたん島>

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posted by 被災地NGO恊働センター at 17:45| ★「まけないぞう」がつなぐ遠野ものがたり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする